県教育振興基本計画(案)パブコメの例文集

第四次愛知県教育振興基本計画(仮称)(中間とりまとめ案)
パブリックコメント 記入例です

第1章  めざすあいちの教育  1基本理念 2基本的な取組の方向
例1 「高度情報化社会など、社会の変化の激しさに自分を見失わず…、自らの人生を切りひらいていく資質・能力を身に付け、…世界を担っていく気概」といった記述があります。これが、アメリカ一極の経済秩序、新自由主義的な発想による地球規模の経済ネットワークを介した大競争社会を生き抜くといった意味でとらえられるものだとしたら、批判的にならざるをえません。教育基本法に書き込まれた「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間」の育成という理念にもとづけば、他人をけ落として競争社会を生き抜けるような「人材」の育成をめざす基本理念とすることには反対です。すべての子どもたちが獲得すべき「生きる力」とは、平和・人権・共生といった理念を土台とした基礎学力であるべきと考えます。

例2 「子供」という表記を「子ども」と改めることを求めます。「供」の字は、「お供」、すなわち子供が大人の附隨物であると連想させるとの意見があります。
例3 基本計画全体にわたり、教育内容に踏み込む記述が散見されます。教育行政の一義的な任務は教育条件整備です。教育内容に関することは、あくまで指導助言であり強制性はないとされています。最高裁学力テスト判決(1976年)に示された教育の自主性を尊重した基本計画とするよう求めます。

第2章 取組の柱と施策の展開
1 自ら学びに向かう教育を充実させ、自己の可能性を伸ばす力を育みます
(1) 主体的・対話的で深い学びの推進ときめ細やかな指導の充実
例1 「教員の定数を改善し、少人数学級の早期実現を目指します」を入れてほしい。
例2 ICTによる「きめ細やかな指導」が手厚すぎる指導となり、主体性を逆に奪ってしまうようでは意味が無い。一律に進めることは、教員の専門性の発揮の妨げにもなる。
例3 児童生徒が自発的に調べ仲間とつながって考え自ら学びを発信する「道具」としてのICT利用は効果が期待できる。
例4 少人数学級は、授業に限らず学校生活全般におけるきめ細やかな指導の助けとなる。教職員の定数の拡充を早期に行う必要がある。国を上回る県基準を求める。
例5 プレゼンテーションルームのような特別教室に加えて、普通教室を多目的に使用できるようにするなど、学校施設全体に余裕を持たせることを考える必要がある。
例6 教育ビッグデータが校内の教育活動目的以外に活用されないよう十分な管理が必要である。
例7 「学力検査やフィードバック、学習履歴や教育ビッグデータ利活用」は学習活動そのものを管理する目的となってはいけない。生徒の家庭環境、学習環境による不公平が起こらないように十分配慮して進めるべきである。

(2)情報活用能力の育成とICT活用教育の推進
例1 「個別に最適化された学び」は生徒自らが必要とするものが必要とするときに得られるようにするべきもので、他が把握して最適化を促すことは主体的な学びといえるだろうか。
例2 「個々の学習状況や心身の状況の一元的な把握」はそれらがビッグデータとして拡大利用される危険性がある。
例3 「1人1台端末環境の早期実現」よりも、各校にICT支援員を配置(SCのように)することが急がれる。
例4 「ICT環境の充実に努めます」について、非常勤職員用の端末も充実させること。
例5 「教員を対象としたICT活用研修」について、ICTを教えるための道具に特化したり、ICTを使用することが目的となってはならない。生徒たちが自ら学びの補助となる道具としての活用でありたい。ICT研修の受講にさいしては、日常業務の軽減なくしては、効果は薄い。
例6 「オンライン型研修」について、良いことだが、校内での実施については、ネットワーク環境や実施教室不足などの環境を把握した上で計画すること。実施が難しい場合は在宅勤務形式でのオンライン研修も検討するべき。

(4)多様な学びを保障する学校・仕組みづくり
例1 「2023年度に城北つばさ昼間定時制を、定時制初の総合学科に改編」とあります。総合学科の検証が十分になされずに、安易に昼間定時制に総合学科を作るのは疑問です。城北つばさは立ち上がったばかり。現場の声を全く聞かずにトップダウンで下ろしてくる姿勢を改めていただきたい。
例2 「国の普通科改革の動向を踏まえて」3種の新学科についての研究を進めるとあります。普通科を解体し、新たな「エリート学科」や「エリート校」をつくる方向は公教育を歪めるものであり、反対します。
例3 昼間定時制は、1学年120人は多すぎる。80人が適正。それを4クラスに分割して運営するのが一番よいと感じています。

(6)特別支援教育の充実
例1 「特別支援学校の過大化による教室不足解消や長時間通学の緩和、学習環境の改善等を図るため、新設校の設置等をすすめます」とあります。新設校の設置は歓迎しますが、障害種別の学校とするよう求めます。
例2 「特別支援教育コーディネーターを中心とした、校内支援体制」とありますが、コーディネーターは、定数外にしたり、非常勤時間をつけたりするなどの人的支援が必要です。
例3 「外国人等語学支援の必要な…支援体制の充実を図るため、支援員の配置や小型通訳機の配備を拡充」とありますが、小型通訳機ではなく一人でも多くの支援員をつけることを求めます。
例4 「特別支援学校教諭等免許状の保有率の向上を図る」とあるが、全ての特別支援教育領域の免許状を取得することを「目指す」にとどめること。また、今後においても取得を強制しないこと。取得の強制は現場の多忙化に拍車をかけることにつながる。
例5 「長時間通学について、分校・分教室の設置や複数障害種の併置、通学区域の見直しなど」とありますが、長時間通学の改善については障害種別の新設校の設置を求めます。
例6 「企業等のニーズに対応した就労支援を推進する」とありますが、企業のニーズに対応した就労支援ではなく、障害者権利条約を守り合理的配慮のもと、就労に定着できるように企業が努力することを求めます。
例7 「特別支援学校高等部の職業コースを充実させるとともに、…障害のある児童生徒に対する職業教育の充実を図ります」とあります。「職業教育の充実」を企業のニーズではなく、人格の形成という観点から考えとりくむことを求めます。

(9)大学等高等教育の振興
例1 「高等教育機関は、人材を育成し、・・・企業等の関係機関と連携・協働しながら、・・・」とありますが、大学の役割は第一義的には真理の探究であります。人材育成や企業連携を前面に出すのは適当ではないと考えます。

2 人としての在り方・生き方を考える教育を充実させ、実践力を伴った道徳性・社会性を育みます
(10)人権教育・多様性理解の推進
例1 「学校においては、『子どもの権利条約』の趣旨を認識し、・・・」とあります。この記載に基づき、子どもの最善の利益、意見表明権などの条文に基づく教育がすすめられるべきです。

(13)不登校児童生徒への対応の充実
例1 「スクールソーシャルワーカーの県立学校への配置を進めます」とあります。現状はお一人がかなりの数の学校を担当されているので、実際の効果が上がる配置となるよう、大幅な増員を求めます。

(14)主権者教育等の推進
例1 主権者教育という言葉は出てきますが、「権利主体としての子ども」、ならびに「子どもの権利条約」について言及がありません。日本国憲法の学習について、小中学校では言及されていますが、高等学校で憲法に言及せず、「公共的な空間における人間としての在り方」を学ぶという記述は主権者教育の展開としては疑問が残ります。
例2 主権者教育の本質は、一人一人が社会の一員として、物事を多面的に考え、判断できるように育てることであろう。小中学校の段階から高校に至るまで、体系的に指導することである。校則や校内のルールを学校が押し付けるのではなく、生徒自ら考える試みなども有効である。自分の声で、世の中が変わることを実感でき、選択に責任をもつことにつながる。

3 健やかな体と心を育む教育を充実させ、生涯にわたって、たくましく生きる力を育みます
(16)家庭教育・子育ての支援の充実
例1 高等学校における就学支援金、奨学金貸付金、奨学給付金、入学料・授業料減免などの充実を求めます。

(17)学校体育・生涯スポーツの充実
例1 学校部活動の教育的意義を踏まえ、学校施設の活用と生徒及び教員の自主的・自発的な活動は尊重されるべきです。生徒の心身の健全な発達や学習等への影響を十分に配慮した上で行うべきです。
例2 教育の部活動指導については、あくまで自主的業務とし、本務とは位置づけない。教員の健康及び教育課程の遂行等、本務への支障のない範囲で行うべきです。
例3 「新しい部活動の在り方」については、指導を希望する教員が、県教委、高体連、高文連等で構成する「学校部活動協議会」(仮称)に申請し、希望種目ごとに、顧問契約を個別かつ年度単位に行う形が考えられる。
※討議資料「部活動をどうする」愛高教部活動問題検討委員会2008年より

4 ふるさとの魅力や愛知の伝統・文化に学びつつ、技術の進歩に取り組み、社会の発展をささえる人を育みます
(19)ふるさと教育の推進と新たな文化の創造
例1 「自分のふるさとを誇りに思い、ふるさとの伝統文化への理解を深め、尊重する態度を育むことは教育の普遍的な価値のひとつであり、グローバル社会において、その重要性はますます大きくなっています」とある。愛国心と同様、郷土愛も児童・生徒が地域で自ら学び・人々と関わり活動する中で自然と醸成されるものであり、学校教育において「ふるさと教育」として一斉に推進するものではないと考える。また、「グローバル社会において」のくだりについて、エスノセントリズム(自民族中心主義)による偏狭な愛国心や郷土愛ではなく、他文化の尊重や他文化との共生の重要性こそがますます大きくなっている。
例2 「ふるさとを誇りに思い」「ふるさとへの愛着心を醸成」することばかりが強調されているが、児童・生徒はこれからの未来の地域を形成していく存在であるはずで、そうした観点から、地域を批判的に見直し、問題点や課題を考察していく態度という視点が全く欠けている。
例3 「高等学校においても将来的な学校配置を検討…。今後、学校の小規模化に伴う教育上のデメリットの顕在化や…」とあるが、来年度の募集計画をみると、定員割れした学校をそのまま学級減にしたものと思われる。その中には、来年度2~3クラスになる学校もあり、学校の活性化という意味でも心配な面がある。一方で、都市部の「進学校」と呼ばれる伝統校では、学級数は減らさず8~10クラスを維持している。このようなやり方は、将来の統廃合を見越して学級減を意図的にしているとしか思えない。学校は「地域コミュニティ」の核なのだから、僻地や交通不便者の学校を安易に統廃合することに反対である。
例4 「高校生の職場体験等の充実」とあるが、インターンシップを実際に体験できる企業を探し連絡をとるのは教員に任されている。教諭は専門職であり、授業をすることが本務である。しかし、部活動をはじめ様々な業務が教員に課され、多忙化が進んでしまっている。職場体験が重要ならば、県教委が責任をもって企業をコーディネートすべきである。旗を振るばかりで、実務は現場というやり方は、愛知の教育振興にとって決して有益なものではないと考える。

(20)社会の担い手の育成に向けたキャリア教育の推進
例1 「高等学校では、キャリア教育コーディネーター等を活用し、インターシップ等の参加する生徒の増加を図ります。また、普通科を中心に、アカデミックインタ―シップ等の取り組みを進めます」とあります。「キャリア教育コーディネーター」は、どのような人がその立場として学校にかかわるのか、単なる退職した管理職をあてるような安易な方法は許されないし、民間企業の関係者を派遣するようでは、そもそも公教育の公平性からも許されない。そもそも高校生活でそのような教育が必要であるのか。何を生徒に教えるのか具体的なものが見えていない。
「アカデミックインターシップ」についても、具体的なものが見えない。結局のところ、すべてを学校に押し付け、現場の職員の負担が増すだけで効果はまったく認められない。コロナ禍のなかで、学校をめぐる状況が従来にくらべ大きく変わっている現状を見れば、今このような方向を求めるのは邪道である。
例2 「拠点となる県立高等学校の定時制課程を総合学科に改編し、定時制課程におけるキャリア教育の充実を図ります」とある。具体的には、「城北つばさ昼間部」を指しているが、この学校は開校4年・施設設備も不十分ななかで始まった。不登校を経験している生徒が比較的多く入学してくるなか、十分な基本的な生活習慣や学力が十分身についていない中の入学で、いきなりキャリア教育といっても十分にそれに対応できないことが十分予想される。
総合学科はさまざまな面で学校システムを複雑化し、教員の負担を増していることが全日制の総合学科の例でも明らかである。現在、学習指導要領の改訂にともない新しい教育課程の編成作業中に加え、すぐ総合学科への改編にともなう動きがくることで学校が日常の業務に加えより困難を極める。学校自体がもう少し落ち着いた状態になってから検討し、必要であれば学科の改編もあっていいのではないかと思う。施設設備をきちんと整え、安定した学校になったうえでの検討課題ではないだろうか。

(21)産業を支える人材の育成
例1 「人材」という言葉が多用されています。「技術者」や「従事者」という言葉に置き換えていただきたい。「人材」という言葉には確かに「有能な人物」という意味もありますが、一方で「材」には材料という意味もあり、受け取り方は様々です。また、どちらかと言えば、経営者(使用者)が用いる言葉だという印象でもあります。県の文書としては、「人材」の使用を避けるべきと思います。
例2 「情報発信を積極的に行い、…育成する産業人材像について、理解と啓発を図ります」とあります。「産業人材像」の具体的な姿が示されていないのでわかりません。ややもすると、個人の主観で決められてしまう危険性もあります。型にはめる教育は好ましくありません。「育成する産業人材像」の文言は削除してください。
例3 「老朽化した実習用設備を更新」については必要です。開校当時(50年以上前)の装置が実習で使われている現状です。見学された外部の方から「まだこんな古いのを使っているんですね」と言われます。「ものづくり愛知」という割には、お粗末な学校現場です。
例4 「工業科について、優秀な理工学人材やものづくり企業で活躍できる女性人材などを育成」とありますが、あえて「女性」と明記する理由が理解できません。男女を区別する必要があるのでしょうか。
例5 「産業の複合化に対応するため、各職業学科が連携した取組」とあります。学科間の打ち合わせや内容の調整が必要となり、多忙化に拍車をかける恐れがあります。
例6 「県内大学のデジタル技術学習の場としてのブランド化の推進」とあります。これはどういう意味なのかがわかりません。
例7 「産業界のニーズを踏まえた人材育成」は、「技術革新に対応できる技術者の育成」に修正していただきたい。そもそも「企業のニーズに見合った生徒の育成」というのは学校教育の目指すことではない。また、これも個人の価値観で型にはめた指導を推進してしまう恐れがありる。

5 世界とつながり、生き生きと活躍するために必要な力を育みます
(23)外国語教育の充実
例1 「英検準2級以上を取得している生徒及び同相当の英語力を有すると思われる生徒の割合は、2019年度調査で36.7%と、2013年度の21.5%から約15ポイント上昇しました」とありますが、大学入試の民間英語試験導入により、単に英検受験生が増えただけの理由ではないでしょうか。
例2 「『外国語活動』が、小学校3・4年生で必修となり、5・6年生では正式な教科となっていることから小中高のつながりを意識」とあります。現高校生は全員5・6年生から英語に触れていますが、その効果はまったく見受けられず、小学校の時に英語が嫌いになり、中学でもっと嫌いになっている生徒が増えているように見受けられます。むしろ中学から英語を学びだした昔の生徒の方がキラキラした目で英語学習に取り組んでいました。
例3 「ALTの配置拡充に努めます」とあります。ALT制度が始まって30余年が経ちますが、昔も今もALTを喜んで活用する英語教師が殆んどいない現状です。
例4 愛知県では、数年前から、英語教育のハブ校(尾東では瀬戸西)12校をつくり、英語教育改革をしてきたが、その効果を検証してみる必要がある。2002年に「英語を使える日本人を育成する戦略構想」が文科省から出て、5年間で日本中の全英語教員が研修を受け、高等学校卒業段階で日常の話題に関する通常の会話(同程度の読む・書く・聞く)ができる(高校卒業者の平均が英検準2級〜2級程度)という目標があったが、まったく達成されていない。実情は、ALTが何を質問しても、自ら手を挙げて答える生徒が、ほぼ皆無な状況が続いている。アドバルーンを揚げても、反省がまったく聞かれない。

(24)日本語指導が必要な児童生徒等への支援の充実
例1 高等学校・特別支援学校への外国人児童生徒教育支援員の配置を、現場のニーズに沿った十分なものにしてください。
例2 通常の学校生活では日本語で対応し、例外的に通訳を介するという姿勢を堅持すべきだと思います。そのためには、無料の「日本語学校」が必要です。行政が整備すべきと考えます。
例3 「日本語指導」は、国語教員ではできません。日本語の構造などの専門知識を持った方がしっかりと教えるべきです。そのための「人」をしっかりと確保していただきたい。

6 子供の意欲を高め、教師の働きがいがある魅力的な教育環境づくりを進めます
(25)学校における働き方改革
例1 「『教員の多忙化解消プラン』について、『目標を達成できていない状況があります』」とあるが、なぜ達成できなかったのかの分析が欠如している。
例2 「一年単位の変形労働時間制を各地方公共団体の判断により条例で選択できるようにするため、『給特法の一部を改正する法律』が成立しました」とあるが、一年単位の変形労働時間制は文科省が認めているように多忙化解消につながらない制度である。よって、働き方改革を進める上で問題がある一年単位の変形労働時間制を導入しないとの姿勢を打ち出すべき。
例3 「勤務時間外の在校等時間の上限として『1箇月45時間、1年間360時間』を遵守することが示されました」とあるが、そもそも条例上教員の時間外勤務については「原則として命じない」となっており、このことを明示すべき。
例4 多忙化解消の意義として「教師が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め」としているが、「教師」との文言については、他の部分では「教員」となっており、「教員」に統一すべき。また、「人間性」ということまで踏み込むのは適当でないため、「専門性」という言葉にすべき。
例5 「多忙化解消プラン」の目標が達成できなかった要因の1つに教職員定数の改善や重複学級の大幅増などの財政的な裏付けがなかったことがあるが、「施策の展開」においても、そうした財政的な裏付けについての記述が乏しい。教育予算を大幅に増やすことで多忙化解消を進めるという姿勢を明示すべき。
例6 行き過ぎた補習や土曜学習などについての解消を図る記述がない。行き過ぎた補習や土曜学習等も多忙化の主な要因の1つとなっていることからガイドラインの策定など行き過ぎた進学指導等の解消を図るための施策を明示すべき。
例7 フォローアップ体制について、実態を把握する上で職場代表の声を聞く場が必要不可欠であるが、この点についての言及がない。職場代表が参加する仕組みについて明示すべき。「民間企業等とも連携し」とあるが、民間企業の論理と教育の条理は異なる。このため、「民間企業との連携」については削除すべき。
例8 部活動について、さまざまな取り組みの方向性が示されていることについては一定評価できるが、部活動総合指導員の拡充など予算の裏付けが必要な部分についての記述が見られない。この点について明示すべき。
例9 少人数学級について言及した点については一定評価できる。一方で、障害児学級の多忙化の大きな要因となっている重複認定の低さについての言及がない。「重複学級の拡充」について明示すべき。
例10 現場のネットワーク担当者の負担軽減について言及がない。現在、ネットワーク担当者が行っている業務を代わって行うための人的配置について明示すべき。

(28)学校施設・設備の充実
例1 特別支援学校の教育環境改善については、過大・過密を解消するための早急な対応が必要である。現在、中教審で審議されている特別支援学校の「設置基準」への対応はもちろん重要だが、その内容や既存の学校が対象となるか、など不確定要素がまだまだ多い。取り急ぎ、県の基準において新設や増設をすることになると思うが、安上がりの安易な併置校(複数の障害種併置校や健常児の通う学校施設を併用する学校)は、指導上の困難だけでなく時として命に関わる危険もある。やはり、障害種別で施設や設備の整った環境で少人数教育を行うことが望ましい。
例2 快適な教育環境の実現に向け、トイレについては、民間企業や他の公共施設と比べ10年以上も遅れてようやく洋式化が進んだ。しかし、外と壁1枚しか隔てていない学校のトイレで、冬に冷たい便座では、子どもたちのトイレ利用を消極的にしてしまうだけでなく、健康上も大きな問題である。ぜひとも、暖房便座もつけるべきである。
例3 空調については現在、県立高校ではほとんどの学校がPTA費などの私費による負担であるため、普通教室など最低限の場所にしか設置されていない現状がある。視聴覚室・音楽室など使用頻度が高い教室にすらない学校もまだまだ多い。今後、公費負担に切り替えるのであれば、当然こういった特別教室も含めて全室に設置すべきである。加えて、特別支援学校には体温調節がうまく機能しない子どもがいることも踏まえ、特別教室だけでなく早急に体育館(屋内運動場)にも設置を求める。

7 大規模災害や感染症拡大等の緊急時においても、子供たちが安心・安全に学べることを保障します
(29)大規模災害や感染症拡大等の緊急時における学びの保障
例1 「新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境を実現」「『学校の新しい生活様式』を踏まえた教職員配置や、安心・安全で健やかに学習や生活ができる学校施設の整備」とあります。ここにも「教員の定数を改善し、少人数学級の早期実現を目指します」の記載を求めます。