憲法と教育を守る愛知の会 <声明>「安保3文書」の閣議決定に抗議し、ゆきとどいた教育の実現を求める を発表しました

憲法と教育を守る愛知の会<声明>

「安保3文書」の閣議決定に抗議し、ゆきとどいた教育の実現を求める
を発表しました

愛高教も参加している「憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会」は、岸田内閣が12月16日に閣議決定した「安保3文書」の撤回を求める声明を発表しました。
以下に、全文を紹介します。
当会は、2002年12月9日に「憲法と教育基本法の理念を実現する愛知の会」として発足し、2007年以降は「憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会」と改称し、
「日本国憲法が求める平和と民主主義、個人の尊重を重視する教育の実現」をめざして活動しています。

以下に、全文を紹介します。

声明文(PDF)はこちら→安保三文書への声明(愛知の会)

声明「安保3文書」の閣議決定に抗議し、ゆきとどいた教育の実現を求める

2023年2月1日

憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会
(憲法と教育を守る愛知の会)
共同代表  榊 達雄(名古屋大学名誉教授)
小林 武(沖縄大学客員教授)

事務局:〒460-0007名古屋市中区新栄1-49-10県教育会館内
愛知県高等学校教職員組合  TEL(052)261-8155

岸田内閣は12月16日に「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」(以下「安保3文書」)を閣議決定しました。ここで触れられている「敵基地攻撃能力」の保有は、歴代政府が掲げてきた「専守防衛」の大原則を投げ捨て、戦後日本の安全保障政策を大きく転換するものです。首相はこの大転換を国会での審議を置き去りにし、米国のバイデン大統領に真っ先に約束しました。およそ独立国の政府とはいえない、卑屈な態度です。本会は、この閣議決定に厳しく抗議し、撤回を求めます。

首相は、1月23日の施政方針演説で「安保3文書」を「安全保障政策の大転換」と認める一方、憲法などの枠内だと主張しました。とんでもないごまかしです。日本が攻撃されていないのに、集団的自衛権の行使として米国の戦争に日本がトマホークミサイルなどで相手国の領域を攻撃し参戦することは、戦後の政府が繰り返し答弁してきた「専守防衛」を否定することになります。5年間で43兆円(GDP比2%以上)という軍事費が実現すれば、日本は米国と中国に次いで世界3位の軍事大国になります。その財源について「今を生きる世代が責任を持たなければならない」と国民への大幅な負担増を求める構えです。

「今日のウクライナは明日の東アジアだ」。首相はこう繰り返し、敵基地攻撃能力の保有や大軍拡の口実にしています。しかし、日本が周辺国と交戦する可能性が最も高いのは、米国が主導した戦争に動員されるケースです。だからこそ、戦争に備えるための軍拡・同盟強化ではなく、戦争を回避するための外交が求められます。今こそ、憲法9条に基づく外交を本気で行うべきです。

こうした大軍拡と軌を一にして、日本学術会議の会員選考や活動内容への政治介入が強められようとしています。梶田隆章会長は「学術会議のあり方や活動に極めて深刻な影響を及ぼす」と懸念を表明しています。政府方針では、会員選考に第三者を参画させ、「選考・推薦および内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じる」としています。この狙いは軍事研究を拒否する声明を3回にわたって発信してきた学術会議を政府の意に沿う助言機関に変質させようとするものです。歴史を振り返っても「学問の自由」の侵害は侵略戦争へとつながりました。この企てを許してはなりません。

岸田首相は、「異次元の子育て支援」なるものを打ち出しています。そうであるのならば、「異次元」の大軍拡を直ちに中止し、教育費の軽減や教育条件の整備に税金を振り向けるべきです。憲法26条の教育を受ける権利を真の意味で実現する教育諸条件の整備が真の子育て支援となります。OECDの調査によれば、2019年度の日本の公財政教育支出の対GDP比は2.8%で加盟38か国中、下から2番目。「先生不足」や「教室不足」の現状は許されません。義務・高校標準法を改正し、抜本的な定数改善と少人数学級の実現を求めます。

そしてなによりの「子育て支援」は、戦争を起こさない平和国家づくりです。侵略戦争への痛苦の反省の上にたって、76年前に施行された憲法は「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」決意を前文に記しています。

本会は、改めて「安保3文書」の閣議決定の撤回を求めます。日本政府は、対話と外交による戦争の回避、平和の準備にこそ力を注ぐことを要求します。
全国の子どもと教育に関わる皆様、それぞれの職場・地域から、たたかいのうねりを起こしていこうではありませんか。

以上