【暁鐘】 2020年12月16日

内閣が変わっても自分に都合の悪いことには「蓋」をすることは変わらない。言うまでもなく菅首相による学術会議の人事介入問題だ。政府に批判的な学者を狙い撃ちにした対応について、国会で追及されると「お答えは差し控える」を連発し、まともに答えようとしない▼こうした学問への介入が公然と行われれば、政府への批判的な研究や言論を控える雰囲気が生まれる。学問の自由・表現の自由の危機が叫ばれる所以である。そして、その先にあるのは「戦争のできる国」に他ならない▼歴史を見れば、1930年代に起こった学問に対する弾圧事件、すなわち滝川事件・天皇機関説事件により、軍部が発言を強め、戦争へ突き進んでいったことがそのことを証明している▼あいちトリエンナーレの状況とも重なるが、国や自治体から補助金が出ていたとしても、その中身まで介入することは憲法原則に反する。一方で、憲法原則を確かなものにしていくためには私たちの「不断の努力」が不可欠だ。丑年の新しい年も憲法を守り生かすとりくみを「忍耐強く」すすめたい。(「愛高教情報」2020年12月16日)