【暁鐘】 2020年10月7日

「2323243」、これは52年前の私が小学校1年生の1学期の通知表の成績。人生で初めて評価というものをもらった。なぜ覚えているかと言うと、体育だけ「4」を取れて嬉しかったのもあるが、この時、親から「ハンコをやるからこれからは自分で保護者印を押しとけ」と言われたから。それ以来、親に通知表やテストを見せることは一度もなくなった。高校、大学の進路も親に相談したこともない。全部、自分で決めるようになった▼昔の親は、忙しかったようだ。授業参観もあったが、来る親はパラパラ。昨今の小1の授業参観ではビデオスタンドが立ち並び、おじいちゃん、おばあちゃんも登場する光景には隔世の感がする。昔は、高校の部活の県大会の決勝ですら、親の姿はなかったが、今では練習試合にも親は駆けつける▼そう言えば、私は親に「勉強しなさい」と言われた記憶もない。その体験から、生徒にも、勉強を強いることをしないようにしている。テスト前に急に覚えたことは、急に忘れる。自分の判断で覚えたことは、富士山の裾野のごとく粘り強く脳裏に焼き付いている。(「愛高教情報」2020年10月7日)