【暁鐘】 2020年9月16日

少し前から“「休日のまとめ取り」のための”という形容句が頭に使われるようになった。もちろん「1年単位の変形労働時間制」の話である。本当に「休日のまとめ取り」ができるならありがたい話ではある▼が、それは机上の空論に過ぎない。部活動や補習、保護者会など年々増加する業務により、夏季休暇の消化すらままならない状況である。そもそもこの制度により「休日のまとめ取り」が可能になるのは、超勤がほとんどなく、業務のない日が一定以上確保できる職場のみである。慢性的な長時間過密労働にさらされている教育現場には、全くあてはまらない制度である▼折しも、コロナの影響により大幅に削られた夏休みに処理できなかった情報機器台帳の整備や近づく体験入学の準備、部活動の休日練習など押し寄せる業務に悲鳴をあげている自分がいる▼そういえば、11年前に同じような仕事をしていて過労に倒れたその方の悲鳴は、残念ながら誰の耳にも届かなかった。10月3日の命日を前に、あらためて働き方を考える機会としたい。(「愛高教情報」2020年9月16日)