【暁鐘】 2020年9月9日

八月、名古屋市の教科書採択で育鵬社の歴史教科書が不採択となった。歴史修正主義の立場に立つ市長のもとで育鵬社の教科書が採択される可能性があったが、不採択となったのは「侵略を肯定する教科書」の採択を許さないとりくみがあったからだ。今、全国でもねばり強いとりくみにより育鵬社の教科書不採択の動きが相次いでいる▼敗戦直後、戦争の責任を逃れるため、陸海軍や外務省の公文書が大量に焼却された。これは歴史を研究する上で大きな制約となっており、歴史学の視点からも公文書の保存については強調されるべきだ。一方で、戦争末期の軍人・官僚同様、都合の悪い公文書の廃棄を行ってきたのが安倍政権だ▼その安倍首相が辞任を発表したが、辞任の背景には、憲法問題や新型コロナ感染症問題など安倍政治の行き詰まりがある。そして、こうした情勢を生み出したのは私たちのとりくみがあったからだが、私たちは安倍首相の辞任というところで立ち止まる訳にはいかない。悪政を抜本的に転換するとりくみを過去に学びながらすすめたい。(「愛高教情報」2020年9月9日)