【暁鐘】 2020年6月10日

2週間にわたる「人数半分での半日ずつ授業」が始まるとき、隣の先生の「すっ飛ばすからね」との宣言をそれとなく聞き流しながら考えた▼もしかしたら隣の先生は、定理や公式の証明を省いて、手っ取り早く「使えるようにする」ことだけを目標に授業をしているのかもしれない。でも、成り立つことが分かっている地点から一歩一歩山を登るように証明を積み重ねて理論を組み立てていくという作業は、数学の授業でしかできない。「そうか、だからこうなるのか」と納得する生徒の顔を見ながら一緒に授業を作っていくことは、まさに教師の専門職性に関わる領域である。どの教科のどの先生にも「その人にしかできない授業」があるはずだ。オンライン学習や動画配信が取って代われるものではない▼学校という場の大切さや、対面授業のかけがえのなさを改めて実感した今、子どもたちや学校現場が求める本当の支援は何なのか。「自分だけが苦しいなんて言えない」ではなく、「みんなが苦しい思いをしている」と、声を大にして言おう。
(「愛高教情報」2020年6月10日)