「コロナ感染拡大から子どもを守る」全教の提言

全教は、5月20日に、「コロナ感染拡大から子どもを守り、豊かな成長・発達を保障するための全教の提言」を発表しました。

全文は、こちらです。
以下に抜粋を紹介します。

コロナ感染拡大から子どもを守り、豊かな成長・発達を保障するための全教の提言
はじめに
「つらいことばっかりで気をまぎらわせることもないし、家族の前では無理して笑わないといけない」(中2生徒)、「子どもたちが不安やイライラをつのらせていて、ちょっとしたことがきっかけですぐにトラブルになる」(放課後デイサービス職員)などの声が聞こえてきます。
新型コロナウイルスの感染拡大が子どもたちの成長・発達にも深刻な影響を及ぼしています。何よりも子どものいのちと健康を守ることが求められるとともに、豊かな成長・発達と学ぶ権利をどう保障するのかが問われています。

1 コロナ感染拡大による子どもと学校への影響

(1)休校による深刻な影響

①子どもたちが安心して過ごせる居場所確保は急務
②豊かな成長・発達を保障する場と学びの場が奪われている

(2)家計収入急減で学びをあきらめざるをえない子どもたち

2 全教の提言~コロナ感染拡大から子どもの成長・発達を守る~

(1)子どもたちのいのちと健康・安全と安心して過ごせる場の確保を最優先に
①今こそ、一人ひとりの子どもたちの声を聴き、寄り添い、安心して過ごせる場を確保すること
〇休校中の子どもたちの生活の様子を把握するため、登校日の設定や必要な連絡・訪問などをおこなうとともに、児童相談所、福祉事務所、保育所、学童保育所、放課後デイサービス等の教育・福祉にかかわる関係機関と連携してとりくみをすすめることは重要です。
〇休校中でも教職員が家庭や子どもたちの様子を把握し、家庭学習の激励や必要なアドバイスをおこなう等のとりくみは重要です。
〇保護者が安心して休業できるための補償が必要です。

②学校再開にあたって「学校は安心して過ごしていい場所」のメッセージを
〇4月にできなかった新しい出会いの場をていねいにつくり、学校や教室が子どもたちにとって安心して過ごせる居場所であることを、すべての子どもたちに伝えることが必要です。
〇授業や課題を詰め込むのでなく、まず仲間とともに安定した学校生活をつくることが求められます。

③安全で豊かな学びを持続するために必要な条件整備が必要~今こそ少人数学級の実現を~
〇40人学級では「物理的距離」を確保することはできません。
〇必要な非接触型体温計やマスク、消毒液等の配備と、手洗い場の整備は急務です。
〇子どもたちに、感染防止のために必要な事柄を指導するためにも、すべての教職員が必要な最新の科学的知見や技能を身に着けることは急務です。
〇学校給食(昼食)を工夫し提供することは、昼食が確保できない多くの子どもたちにとって重要です。

(2)子どもたちの豊かな学びを保障するために

①教育課程の編成は、柔軟に、子どもの実態を踏まえて
「年度内に休校分の学習を取り戻せないのではないか」「楽しみにしていた行事などができないのでは」などの不安や疑問の声が子どもたちや父母・保護者からあがっています。
〇「とりもどす」のでなく、子どもたちの今の姿からはじめなければなりません。
〇教育課程の編成は、一つひとつの学校から、子どもや学校の実態をふまえて自主的におこなうものです。文科省が、「次学年又は次々学年に移して教育課程を編成する」ことを含む「次年度以降を見通した教育課程編成」(2020年5月15日通知)を可能とするとしたことは、各学校で柔軟な教育課程の編成をする上で、重要です。
〇各教科の指導において、例えば、学習内容の精選や単元の組み替え、次学年以降への移行などを、各学校で柔軟に、知恵を出し合い検討することが大切です。
〇不要不急な「教育改革」施策を中止し、今必要な授業や行事などの時間を確保するべきです。
〇大学入学共通テスト導入を中止すべきです。また、高校入試においては、中学生に過度な負担がかかることのないよう、各地域の休校状況をふまえ、入学希望者全入を基本においた検討を早期にすすめることが必要です。
〇オンラインによる家庭学習を性急に進めることは、ICT環境が不十分な自治体や学校、家庭が多いことや個人所有の機器を使用することの問題等、いっそう教育格差を拡大する危険性があります。

②家計収入が急減した家庭の子どもたちの学びを保障するために
〇家計収入が急減した家庭に対し、学納金(入学金等)や授業料の免除、減免、猶予等をただちにおこなうこと
〇それぞれの修就学を支援する制度を実効あるものとするために、制度や相談窓口をすべての家庭にただちに周知すること
〇当面、すべての大学が学費を一律に半額とする措置を実施できるよう、国が責任を持って支援すること

③人権尊重の精神を考え合い、学び合うこと

(3)教職員への感染拡大を防ぐために
〇職員室等での「3つの密」を防ぐ手立てを確立するとともに、可能な限り教職員の在宅勤務・テレワーク・自宅での研修等が可能となるようにすることが必要です。
〇感染拡大を防ぐためにも、長時間過密勤務をただちに解消し教職員が健康に勤務できる環境を整えることが必要です。
〇教員免許更新制度の、2021,22年度までのグループの修了確認期限は1年間延期すべきです。

おわりに
コロナ感染拡大から子どもたちと地域の教育を守るためには、公教育の市場化・民営化をやめて、抜本的に教育予算を増やし、時間的にも空間的にもゆとりある教育をすすめるための少人数学級の実現等の条件整備が、今こそ求められます。