職場討議資料「高校生のための学びの基礎診断」について

愛高教は、2019年12月4日 職場討議資料「高校生のための学びの基礎診断」について、を職場配布しました。

職場活動でぜひ、ご活用ください。
概要は、以下です。 全文は、こちらから。

1 はじめに
愛知県教育委員会は、「『高校生のための学びの基礎診断』の愛知県実施方針」を策定し、10月25日に、各県立高等学校長へ通知しました。これを受けて、2022年度から全校で実施することとなります。現時点での職場討議のための「職場討議資料」を作成しました。
今後、新教育課程の編成や評価方法(観点別評価)の検討など様々な職場論議がすすんでいきます。この討議資料を活用いただき、職場での学習・議論をすすめていただきたいと考えます。
(中略)
5 私たちがめざす授業づくりとは
「教育研究集会2016報告集」に岐阜の高校(数学)の吉川徹氏による報告があります。一部を引用します。「岐阜県で多く見られる実践は、受験対策としての毎回の授業における小テストの実施です。それぞれの教員に『進度表』が渡され、毎回の授業において教科書のページ、傍用問題集の問題、宿題、小テストが指定され、それに従って授業を横並びに進めていかなければならない。その進度は、教科書の内容をムダなく猛スピードで説明してギリギリ終わるか終わらないかという範囲で指定されるので、生徒にじっくり考えさせたり、グループ学習をとりあげたりすることはほぼ不可能です。教師が授業内容について工夫する余地もないのです」。見事なまで、愛知の「進学校」の実態と符合しています。たしかに授業の端々で「これはセンターに出たよね」「こんど小テストやるよ」などと言ってしまうことがあります。
こうした余裕のない現場では、民間事業者の『測定ツール』を利用したほうが手間なく「充実した」アフターサービスも受け取れると感じがちです。PDCAのため全国レベルの到達度が示されます。過年度比較も容易です。少なくない教員がこうしたデータをもとに進路指導にあたっています。その現状を安易に是としてよいのでしょうか。
高校教育は、大学受験をゴールとするものではなく大学・社会で通用する学力や学び方を身に着ける学力獲得が求められます。何をもって学力獲得と判断するのかは、数値データのみに頼るのではなく、教師集団での民主的討議のもと判断するべきではないでしょうか。(1)各自の自己評価、(2)教科会・学年会などでの集団的な評価、(3)職員会議による教師集団の評価、こうした会議間でのキャッチボールを経て、教育目標の到達を判断すべきです。上意下達の体制は問題ですが、教職員間での民主的な議論を踏まえた上での授業アンケート、生徒会と教師の討論会などは有効なとりくみになり得ます。
「主体的な学び」というワードが駆け回っています。東京大の佐藤学氏は、校内研修において大切にする視点として、以下を語っています。「私が校内研修において、『教師の教え方』を観察と批評の中心とするのではなく、『子どもの学びの事実』(どこで、学びが成立し、どこで学びがつまずいたのか)を観察と批評の中心に置くことを主張してきたのは、教師たちの研修を専門家らしい学びの場へと転換することを企図したからである」。この機会にあらためて、子どもを真ん中にすえた授業や学びをめざしていきましょう。
この5章は、「基礎診断」の諸問題にとどまらず、私たちがめざす学力づくり・授業づくりについても、この機会に検討すべきと考えて用意しました。